トムヤムクンとネズミ料理が教えてくれたこと
- a05m100
- 2 日前
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以前の仕事では、タイの農村部へ何度か出張していました。農業機械の現地試験を行うため、バンコクのような都市部ではなく、広大な農地が広がる地域で仕事をすることがほとんどでした。
現地では圃場の近くにキャンプを設営し、朝から晩まで試験業務に取り組みます。日本から来た私たちだけではなく、同じ会社のタイ人スタッフも同行してくれます。
キャンプには料理担当のスタッフも同行しており、毎日の食事は本格的なタイ料理です。辛味や酸味の効いた料理はどれもおいしく、特にキャンプで食べたトムヤムクンは今でも印象に残っています。
そんな生活の中で、日本ではなかなか経験できない出来事もありました。ある日、キャンプ近くで獲れたネズミが夕食として振る舞われたのです。最初は驚きましたが、現地のスタッフにとっては特別なことではなく、地域では昔から親しまれている食材のひとつでした。
日本で生活していると「当たり前」と思っていることも、国や地域が変われば全く異なります。食べるもの、暮らし方、考え方、そのどれもが違います。しかし、一緒に仕事をし、一緒に食事をし、一緒に時間を過ごすうちに、その違いは驚きではなく理解へと変わっていきました。
仕事が終わった夜には、キャンプで宴会が開かれることもありました。現地の蒸留酒を飲みながら語り合い、ときには音楽に合わせて踊ることもあります。言葉が十分に通じなくても、笑い合い、食事を共にし、同じ時間を過ごすことで自然と距離が縮まっていきました。
今振り返ると、私はタイで現地試験をしていただけではなく、「相手の暮らしを知ること」の大切さを学んでいたように思います。
訪問診療では患者さんのご自宅へ伺うため、病気だけではなく、その方の日々の暮らしや生活環境に触れる機会があります。
同じ病気であっても、家族構成や住環境、これまで歩んでこられた人生によって必要な支援は異なります。診察室だけでは見えない、その人らしい生活があります。
タイの農村で経験したように、自分の常識だけで相手を理解することはできません。まずは相手の暮らしを知り、その背景を理解することが大切です。
訪問診療もまた、患者さんの生活の場に入り、その方らしい暮らしを支える医療だと思います。タイで出会った人々との時間を思い出しながら、これからも患者さん一人ひとりの生活に寄り添える存在でありたいと思います。



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